打撲は日常生活で頻繁に起きるケガですよね。あなたもきっと今までに何回か打撲をしたことがあるでしょう。
さて、どこか身体が熱を持っているときに手軽に使われるのが冷却シートです。「冷えピタ(ライオン)」「熱さまシート(小林製薬)」「デコデコクール(久光製薬)」などが有名ですよね。では打撲の応急処置に冷却シートは効果があるのでしょうか?
目次
そもそも打撲とは?
打撲の応急処置に冷却シートは効果があるのかを考える前に、まずは打撲とはどんなケガなのかを理解しておきましょう。
そもそも打撲とは、転倒や衝突などによって身体の内側の皮下組織や筋肉などを損傷することです。全身のあらゆる部位で起きる可能性のあるケガで、打ち身と呼ばれることもあります。
打撲は身体の内側の損傷ですから、基本的に傷口を伴いません。しかし、打撲は少なからず内出血や炎症を引き起こすため、患部に痛みや腫れが発生します。
また、打撲にもさまざまな損傷レベルがあります。何もせずに自然に治る軽傷のケースがほとんどですが、骨折や内臓損傷などを伴う重症のケースもあります。
打撲の応急処置に冷却シートは効果があるの?
冷却シートはジェルの蒸発熱の作用を利用することで冷感を得る医療用商品です。「冷えピタ(ライオン)」「熱さまシート(小林製薬)」「デコデコクール(久光製薬)」などが代表的ですね。では打撲の応急処置に冷却シートは効果があるのでしょうか?
確かに打撲の応急処置ではすぐ患部を冷却することが大切です。そのため、ついつい打撲の応急処置に冷却シートを貼ってしまう方もいらっしゃるようです。
しかし、実は打撲の応急処置に冷却シートはあまり意味がありません。
というのも、冷却シートを貼ったときのひんやりとした感覚はメントールという成分による影響がほとんどで、実際にはあまり患部の熱を下げてくれないからです。つまり、打撲の応急処置として内出血や炎症を十分に抑えるだけの冷却効果はないのです。
実際の医療現場において、患者さんの身体の熱を下げたいときに冷却シートを使うことはありません。たいていは氷水や保冷剤を使います。市販の冷却シートにほとんど熱を下げる効果がない何よりの証拠と言えるでしょう。
もちろん風邪で熱があるときなどに冷却シートを使うのはよいですが、打撲の応急処置に冷却シートは適していません。決して冷却シートは万能ではないことを覚えておきましょう。
正しい打撲の応急処置とは?
打撲の応急処置に冷却シートは向いていませんでした。では実際に打撲をしたらどのように応急処置をしたらよいのでしょうか?
もしあなたが何らかのアクシデントで打撲をしてしまったら、「RICE処置(ライスしょち)」を思い出してください。RICE処置とは応急処置の基本で、下記の4つの原則の頭文字をとったものです。
①Rest(安静にする)
②Ice(冷却する)
③Compression(圧迫・固定する)
④Elevation(挙上する)
Rest(安静にする)
もし何らかのアクシデントで打撲をしてしまったら、まずは安静にしましょう。無理に患部を動かしたりすると、内出血や炎症が悪化してしまいます。また、患部を無闇にさわらないようにします。
Ice(冷却する)
打撲の応急処置で最も重要なのが冷却(アイシング)です。すぐに患部を冷却することで、内出血や炎症を最小限に抑えることができます。もしあなたが打撲をしてしまったら、できるだけ迅速に患部を冷却するようにしましょう。
具体的には氷水を入れたビニール袋(2重・3重にするとよい)などで患部を冷やしてあげるのがよいです。また、手足などを打撲した場合には、氷水の入ったバケツに患部をつけるのでもOKです。ただ凍傷には十分に注意してください。
すぐに氷を用意できない場合には、流したままにした水道水に患部をつけることでも、一定の冷却効果を得ることができます。
Compression(圧迫・固定する)
打撲をした部位の周辺を包帯やテーピングで圧迫すると、内出血や炎症を抑える効果を得られます。ただ包帯やテーピングをあまりきつくしすぎないようにしましょう。健康な細胞まで壊死してしまうことがあります。
Elevation(挙上する)
患部が心臓より低い位置にあると、患部に血液がどんどん流れるため、内出血や炎症が助長されます。そのため、患部を心臓より高い位置に保つように意識しましょう。たとえば、枕やクッションなどの手軽なものを活用するとよいですね。全身的な打撲の場合には、無理に拳上を意識する必要はありません。
最後に
いかがでしたか?打撲の応急処置として冷却シートは効果があるのかについて解説してきました。市販の冷却シートにはあまり熱を下げる効果がないので、打撲の応急処置には適していませんでした。決して冷却シートは万能ではないことを覚えておきましょう。
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